会津酒造取材:若きリーダーが追い求める日本酒

「皆がわいわいとテーブルを囲み、そんな中に日本酒の瓶があって、
いつの間にか空になっている、そんな風に日本酒が身近なものになって、
そんな中で自分の造った日本酒が飲まれているのが目標ですね」
南会津の人々に愛される蔵元で育った渡部さんの理想は人の日常に近い日本酒のあり方です。

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会津酒造の特徴はその仕込み水にもあり、蔵の中に湧き出る井戸水はドイツ硬度を基準とし、
軟水が0から7、硬水が7以上という中で0.8と超軟水。
ミネラル分の多い硬水に比べ比較的緩やかに発酵が進み、
同じ度数でも口当たりの柔らかい飲みやすい日本酒に仕上がります。
その超軟水の特徴を活かした“山の井”シリーズは
日本酒にあまり強くないという渡部さん本人が飲みたいと思う、
超軟水の特徴を生かした丸みのある口当たりの優しい綺麗な日本酒です。

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“山の井”シリーズの裏ラベルには「感じるままに飲んで下さい」と一言添えられています。
例年の鑑評会について聞くと
「鑑評会は出品するからには全てトップを狙っていますが、
その日本酒がそのまま飲み手には届きませんから鑑評会は自己満足ですね、
もちろん鑑評会を目標とする事で技術が高まっているとも思います」と答え、
「だけど、日本酒は賞を取ったとかそういうことではなく、
自分に合った自分だけの日本酒を探してほしいです」
そしてそれに応えるだけの懐の深さが日本酒にはあると続けました。
受賞歴などに左右されることなく、
飲み手がその舌と身体と心で感じるままに飲んで欲しいと願い造った“山の井”。
渡部さん自身が日本酒の懐の深さの魅力にはまっているようでもありました。

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南会津で一番古い蔵元から若者の伸び伸びとした挑戦が続きます。